家中(読み)かちゅう

  • ▽家中
  • うちじゅう
  • うちじゅう ‥ヂュウ
  • うちじゅう〔ヂユウ〕

デジタル大辞泉の解説

家の中全体。「家中ちらかしている」
家の中の者全員。家族みんな。「家中で花見に行く」
家の中。屋敷の中。
家族全員。いえじゅう。「家中一同より」
江戸時代、大名の家臣の総称。藩士。また、藩。
「御前(ごぜん)死去の後、―は若殿なきことを悲しみ」〈浮・一代女・一〉

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世界大百科事典 第2版の解説


中世
 室町・戦国時代以後の武家文書の中で,よくあらわれてくる用語であって,例えば,戦国大名一族被官および新参の者等をひっくるめて〈何々家中衆〉〈何々御家中〉とよんでいたのが,それにあたる。南北朝時代よりも以前の社会では,一族の惣領とその一族員との関係は,一種共和的な性格をもった族縁共同体ともよばれるべき存在であったが,南北朝・室町時代に進むにつれて,一族の当主はその一族員をも,他の被官クラスの人々すべてに準じて,自己の家臣として位置づける方向を明らかにしはじめ,そこに,南北朝時代以降の武士団に特徴的な,いわゆる家臣団の編成が進んだのである。

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大辞林 第三版の解説

家の中すべて。 -を探す
家の中の者すべて。家族のみんな。 -で出かけた
家の中。屋敷の中。
家の全員。いえじゅう。
戦国時代に、武家の主君・家臣団の総体を示す擬制的同族呼称として使用され、次第に諸大名の家臣の総称となった。また、江戸時代には藩の意味にも用いられた。 →

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

江戸時代、一藩の家臣を総称してよんだ語。家臣団。また特定の大名の家臣をさして「前田殿の御家中」などとよんだ。家中とは家の内部、「いえじゅう」という意味であり、中世武士団が成長の中核とした同族結合をさしたが、武士団の発展につれて、惣領(そうりょう)とその一族だけでなく、新たに服属した郎党をも含めるようになり、室町時代以降、家臣の総称となった。戦国大名から近世大名への転化に伴い、家臣団の構成は複雑になったが、家臣団編成の原理が、大名の擬制的な家の内部に家臣を位置づけるものであったため、家中の語はさらに家臣団の総称として定着した。徳川家が有力外様(とざま)大名に松平(まつだいら)姓を与え、大名も有力家臣に自分の姓を与えて一門に準じたのは家臣を自らの家中に位置づけた表れである。[根岸茂夫]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 家の中全体。また、家の中の者みな。
※雑俳・柳多留‐七(1772)「内中が寄って漬菜をとがらかし」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉五「うち中驚かしてやらう」
〘名〙
① 家の中。家の内部。
※明月記‐治承四年(1180)二月一四日「明月無片雲、庭梅盛開、芬芳四散、家中無人」
② 家の中全体。また、家全体の者。いえじゅう。
※江談抄(1111頃)三「公忠弁俄頓滅、歴両三日蘇生、告家中云」
③ 戦国時代以来、大名の家臣団の総称。藩士。転じて、同じ藩の家来。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)上「我等は京都堀川下立売に住居の者、御家中の方々へ鼓の指南仕る」

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世界大百科事典内の家中の言及

【親類書】より

…仕官に当たり,親類書は先祖書と並んで身上書の役割を果たした。近世武家社会では,家が社会の単位であり,家どうしの結合関係・家柄が個人のそれよりも尊重され,大名は家臣をみずからの〈家中〉として統制するため,家臣の親類関係あるいは他藩との交流を把握する必要があった。諸藩ではしばしば一斉調査を行い,全家臣に親類書を提出させている。…

※「家中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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