鳥内遺跡(読み)とりうちいせき

日本歴史地名大系 「鳥内遺跡」の解説

鳥内遺跡
とりうちいせき

[現在地名]石川町新屋敷 耕土

阿武隈川とその支流やしろ川の合流点から南へ約五〇〇メートル離れた社川西岸の河岸段丘上にある縄文時代後期―弥生時代の遺跡で、県指定史跡。東北地方の弥生時代初期に属する再葬墓群が多数検出され、東北地方の弥生期の古い段階の葬制を知るうえで重要な資料となった。再葬墓からは多数の土器群が出土し、東北地方南部の弥生時代前半の良好な土器資料となっている。土器は完形品だけでも八〇点を超え、多くは壺であるが、甕・鉢も少量含まれている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「鳥内遺跡」の意味・わかりやすい解説

鳥内遺跡 (とりうちいせき)

福島県石川郡石川町大字新屋敷字耕土に所在する縄文後・晩期とそれにつづく弥生時代初めにかけての遺跡。阿武隈川と社川の合流点に近い標高270m内外の河岸段丘上に位置する。開田事業により,1970年に調査された。弥生時代に属する再葬墓の主要区域は土器群と墓坑との関係が不明瞭であるが,不整円形の墓坑に,複数の土器を直立位に配納する小竪穴墓が20基以上確認されている。このうち第9号と称される墓坑には14個体もの土器が入れられていた。碧玉製管玉や人面付土器の出土もあり,南御山,墓料,根古屋遺跡と共に屈指の再葬墓遺跡といえる。土器は壺を主体に深鉢,鉢があり,縄文直後の変形工字文や磨消縄文を表出した例が少なくない。壺のうちには,外面がよく調整された素面のものも多く,条痕文を駆使した東海系の水神平(すいじんびら)式土器が数個含まれていて,東北地方への弥生文化伝播の具体例として注目されている。
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