再葬墓(読み)サイソウボ

デジタル大辞泉 「再葬墓」の意味・読み・例文・類語

さいそう‐ぼ〔サイサウ‐〕【再葬墓】

遺体土葬風葬など何らかの方法で白骨化した後、遺骨壺形土器などの骨蔵器に納めて再び埋葬した墓。縄文時代末期から弥生時代中期にかけて、東日本で発達した。

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改訂新版 世界大百科事典 「再葬墓」の意味・わかりやすい解説

再葬墓 (さいそうぼ)

弥生時代の中期初頭から中ごろにかけて,関東地方を中心として東北地方の中央部に至るまで分布する特殊な埋葬遺跡。直径1m内外の円形平面をした竪穴を掘り,そこへ複数個の土器棺を埋め込んだもので,ときには,10個を超えることもある。これらの土器中に骨が遺存することはまれであるが,一般的に,高さ30~40cmの壺では,1個につき1遺体分の骨が納めてあるらしいから,1竪穴2遺体以上の埋葬が同時に行われたと考えられる。しかし小型土器の場合には,1遺体分を別々の土器に分けることもある。土葬や風葬によって骨化するのを待って土器に納めたと考えられ,二次的に改葬していることから再葬墓という名がつけられた。このような墓壙が狭い範囲内に10~40基くらい密集してつくられ,共同墓地をなしていることが多い。そして,1墓地にほぼ1個体だけ,口の側面に人面をつけた壺が墓壙に入れられており,他に手厚く葬った墓は見当たらない。茨城県女方(おざかた)遺跡,栃木県出流原(いずるはら)遺跡が著名である。
両墓制
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「再葬墓」の解説

再葬墓
さいそうぼ

洗骨(せんこつ)を行ったのち再び改葬する墓。世界中の各時代にみられるが,日本では中部・関東地方から東北地方南部の弥生初期に特徴的な墓制をさす。1次葬後の骨を壺に入れて土壙(どこう)に納める。ふつう複数の壺が一つの土壙に納められる。副葬品はほとんどないが,まれに管玉などの装身具が発見される。縄文晩期にはじまる墓制といわれ,弥生中期中頃に消滅する。

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世界大百科事典(旧版)内の再葬墓の言及

【天神前遺跡】より

…千葉県佐倉市岩名字天神前にある弥生時代中期の再葬墓の遺跡。印旛沼の南約1.6kmにあり,標高30mの丘陵上に位置する。…

【墳墓】より

…近畿地方や山陰にもみられるが,大型壺を穴に直立させて埋め,石や土器片で口に蓋をしたものが多く,底部に近い所に1ヵ所穿孔したものが多い。関東地方から東北地方南部にかけては数個の壺を一つの穴に埋めることが多く,再葬墓すなわち洗骨の風習があったのではないかと考えられている。関東では方形周溝墓の風が伝わるとこの習俗はなくなる。…

【弥生文化】より

…またこれらのみの墓と並んで,周囲に溝をめぐらした方形の土盛り(方10m前後のものが多い)の中に,木棺墓,坑墓,土器棺墓などを設けた方形周溝墓がある。南関東から東北地方南部にかけては,いったん土葬か風葬にして骨だけとし,その骨を集めて壺に収め埋葬する再葬墓が行われた(III期)。しかし続くIV期には方形周溝墓が伝わり,これを採用している。…

※「再葬墓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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