鳥海松亭(読み)とりのうみ・しょうてい

朝日日本歴史人物事典 「鳥海松亭」の解説

鳥海松亭

没年:文政2.4.18(1819.5.11)
生年:安永1(1772)
江戸後期の学者。名は恭,字は仲黙,重三郎と称す。松亭は号。書斎号を鳳翔館。庄内(鶴岡)藩医鳥海良琢の長男に生まれたが,家督を譲り江戸に出て下谷三枚橋に住む。当時活躍中の学者や文人たちと交友を持ち学問に努めた。漢学市河寛斎,蘭学を吉田長淑の蘭馨堂に学ぶ。文化13(1816)年に刊行された著書『音韻啓蒙』は和漢洋の研究のなかから日本語の音韻,表記法を論じたもので言文一致を提唱していることは注目される。他に『文章逢源』『荘子独断』『大学奉旨』『中庸奉旨』『泰西余言』『松亭小言』『音韻析毛』が知られるが,『音韻啓蒙』のほかは残っていない。墓所は心月院(東京都杉並区)。<参考文献>平野満「蘭馨堂門人・鳥海松亭」(田崎哲郎編『在村蘭学の展開』)

(平野満)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鳥海松亭」の解説

鳥海松亭 とりのうみ-しょうてい

1772-1819 江戸時代後期の儒者,蘭学者
安永元年生まれ。出羽(でわ)鶴岡藩(山形県)藩医鳥海良琢(りょうたく)の長男。28歳のとき藩医を辞職し,江戸で市河寛斎(かんさい)に儒学をまなぶ。のち吉田長淑(ちょうしゅく)の蘭馨(らんけい)堂で蘭学をおさめる。物産学にも通じた。文政2年4月18日死去。48歳。名は恭。字(あざな)は仲黙。通称は重三郎。著作に「音韻啓蒙」など。

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