鳴洞窟(読み)おなりあな

日本歴史地名大系 「鳴洞窟」の解説

鳴洞窟
おなりあな

[現在地名]気仙沼市魚町二丁目

釜前かまのまえの湾口北側、神明しんめい崎西側崖下の波打際にある鍾乳洞音鳴おなり穴・うなり穴ともいわれ、管絃かんげん洞という雅名もある。海水の干満にしたがって窟内を去来する潮騒の音が洞壁に反響し、とくに春初大潮の際には複雑微妙な音色をかもしだす。「観蹟聞老志」は「鳴洞窟をなりあな(中略)洞口向西北三間余、洞中豁然、下有碧潭、鑿于東南、深奥不知、潭底不測、石梁巌柱、奇状怪態、各為人物禽獣器用之象」と記し、さらに土地の人は「仏陀菩薩之所現」として、「毎歳暮春三四月之際、洞中必有琴瑟簫鼓之音、是乃聖衆来降奏音楽之時也、故曰音鳴洞をなりあな」と書いている。これが当時の土地の伝承そのままなら、「オナリ」に「音鳴」の字をあてたのは著者佐久間洞巌の合理観で、本来は「聖衆来迎」の「御成り」であったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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