鳴鹿大堰(読み)なるかおおぜき

日本歴史地名大系 「鳴鹿大堰」の解説

鳴鹿大堰
なるかおおぜき

九頭竜くずりゆう川の水利を利用して越前平野の北部すなわち坂井郡の平野部を灌漑する十郷じゆうごう用水新江しんえ用水・高椋たかぼこ用水・磯部いそべ用水などの取水口で、九頭竜川が越前平野に流入するかんむり岳の南西麓、東二ツ屋ひがしふたつや(現丸岡町)に設けられた。越前最大の灌漑面積をもつ用水の堰。平安時代以来、奈良興福寺の荘園河口かわぐち庄を潤すために開削されたと考えられる十郷用水との関係が深く、そのため十郷大堰ともいう。「大乗院寺社雑事記」明応七年(一四九八)七月五日条に「百姓等罷上申、鳴鹿川井口、豊原寺違乱事、証文共納所ヨリ取出持参入見参」などとある。

江戸時代、当大堰の用水懸りの村数と石高は、年代によって差異はあるが、おおむね一一八ヵ村、六万六千三三九石で、堰の幅員は一一六―一三八間であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報