黄体嚢胞(読み)おうたいのうほう(その他表記)Corpus luteum cyst

六訂版 家庭医学大全科 「黄体嚢胞」の解説

黄体嚢胞
おうたいのうほう
Corpus luteum cyst
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 黄体から生じた嚢胞です。黄体は、排卵後の卵胞卵子を入れた袋のようなもの)から形成されます。排卵後の黄体のなかには通常、血液の塊があります。この血液の塊があるところに液体がたまって嚢胞を形成すると、黄体嚢胞になります。黄体嚢胞の壁は黄体細胞からできています。内溶液は血清から透明なものまでさまざまです。

 本疾患の性質上、排卵可能な卵巣機能をもつ、思春期から閉経期ころまでの女性に発生します。右または左どちらか一方のことがほとんどです。

検査と診断

 診断は、内診と超音波断層法で可能です。必要に応じて、MRI、CT検査で鑑別診断を行います。

症状の現れ方と治療

 通常は無症状ですが、無理な性交などの物理的刺激により破裂し、大量の腹腔内出血を来すことや茎捻転(けいねんてん)を起こすこともまれにあります。このような場合は下腹部激痛を伴い、急性腹症として開腹手術になることがあります。術前に診断がついていれば腹腔鏡(内視鏡の一種)を使った処置で十分なことが多いようです。

 無症状の場合は、経過観察で自然に消えることがほとんどです。

病気に気づいたらどうする

 下腹部痛の症状がある場合や、検診などで見つかった場合は、産婦人科を受診します。

大須賀 穣

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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