p進数(読み)ぴーしんすう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「p進数」の意味・わかりやすい解説

p進数
ぴーしんすう

pを一つの素数とする。riを0≦ripのような整数とするとき、無限級数

p進数という。aを正の整数とすると、a
  a=r0+r1p+……+rmpm
   (0≦rip)
と表されるので、p進数の特別の場合とみることができる。たとえば、p=7のとき、
  121=2+17・7=2+(3+2・7)・7
    =2+3・7+2・72
負の整数を有限和で表すことはできない。しかし、無限級数の形に表そうとするなら、それは可能である。たとえば、
  -3=4+(-1)・7
    =4+6・7+(-1)・72
    =4+6・7+6・72+6・73+……
分母bpで割り切れない分数1/bも、無限級数の形にすることができる。たとえば、
  1=4・2+(-1)・7=4・2+4・5・7+(-3)・72
   =4{2+5・7+1・72+(-1)・73}=……
となるから、
  1/4=2+5・7+1・72+……
これは右辺r0+r1p+r2p2+……と置き、順にr0r1、……を定めてもよい。

 一般に有理数
  a=ps(r0+r1p+r2p2+……)
と無限級数で表される。この右辺の形の無限級数をp進数というのである。有理数はp進数であるが、p進数は有理数を表すとは限らない。p進数の全体は可換体をつくり、これをp進体という。整数論研究のために考え出されたものである。

[寺田文行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「p進数」の意味・わかりやすい解説

進数 (ピーしんすう)
p-adic number

20世紀初頭,ヘンゼルK.Hensel(1861-1941)によって数の一つの拡張として考案され,その考えは,代数学,整数論において広く用いられている。一つ素数を定め,それをpで表す。pに対し形式的に,

という有限または無限級数の形で表されるものをp進数という。とくに,負べきの項の係数がすべて0のものをp進整数という。二つのp進整数α=a0a1p+……+anpn+……,β=b0b1p+……+bnpn+……と自然数mに対し,m′≧mならば,a0+……+am′pm′とb0+……+bm′pm′の和のp進展開のpmまでの係数は,m′の取り方によらない。αとβの和は,任意のmに対して,pmまでの係数が上で決まるものとして定められる。同様にして,二つのp進数の和,積が定められ,p進整数全体は,p進整環と呼ばれる環をなし,p進数全体はp進数体と呼ばれる体をなす。
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