改訂新版 世界大百科事典 「二端子対回路」の意味・わかりやすい解説
二端子対回路 (にたんしついかいろ)
two port circuit
電気回路中の4個の節点に着目し,この節点を通じて外部からこの回路に流入する電流と,節点相互間の電圧とを主要な変数と考えたとき,この回路を四端子回路という。四端子回路で,とくに4個の節点を2個の節点の組に分け,それぞれの端子対を通じて外部回路との間で流れる電流と,それぞれの端子対の電圧とを主要な変数と考えたとき,この回路を二端子対回路と呼ぶ。二端子対回路は,一方の端子対に電源を,他方の端子対に負荷を接続するなどの形で多く用いられ,その回路の性質などを知ることができる。二端子対という概念は,回路が線形であるか否か,時間的に変化するか否かなどとは独立であるから,非線形な二端子対回路などを考えることができる。しかし,とくに回路が線形かつ時間的に不変な場合には,正弦波定常励振時の各端子対の電圧および電流の複素数表示は相互に従属であり,いずれか二つと他の二つの線形結合で表す形で各種の行列表示が定義される。二端子対の概念は一般のn端子対回路へ拡張される。
執筆者:岸 源也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報