化学辞典 第2版 「D-グルコサミン」の解説
D-グルコサミン
グルコサミン
D-glucosamine
2-amino-2-deoxy-D-glucose.C6H13NO5(179.17).略称GleN.キトサミンともいう.もっとも広く天然に分布する代表的なアミノ糖である.N-アセチル-D-グルコサミンや硫酸エステルとして,昆虫,甲殻類の外骨格を形成するキチンをはじめ,ヘパリン,ヒアルロン酸など,動物,植物,微生物の多糖,とくにムコ多糖,糖タンパク質,糖脂質の構成成分である.普通は,キチン質を塩酸で加水分解し,塩酸塩として得るが,合成でも得られる.遊離のものは塩基性を示し,分解しやすい.α形は融点88 ℃.+100→+47.5°(水).β形は分解点110~111 ℃.+28→+47.5°(水).塩酸塩は結晶しやすくきわめて安定であり,α形は分解点190~210°.+100→+72°(水).β形は分解点185 ℃.+25→+72.6°(水).還元糖としての一般的性質を示す.フェニルヒドラジンと反応してD-グルコース,D-マンノース,D-フルクトースと同一のオサゾンを与える.モルガン-エルソン反応(エルソン-モルガン法)やニンヒドリン反応で検出,定量される.N-メチル-L-グルコサミンがストレプトマイシンに構成成分として含まれており,そのほか多数のグルコサミン同族体が,天然物や合成品として知られている.[CAS 3416-24-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報