グルコサミン(読み)ぐるこさみん(英語表記)glucosamine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グルコサミン」の意味・わかりやすい解説

グルコサミン
ぐるこさみん
glucosamine

アミノ糖一種ヘパリンヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンに構成成分として含まれる。グリコサミノグリカンは関節や皮膚などの結合組織を柔軟に保持し、同時に保湿の役割を果たしている。またグルコサミンは糖タンパク質や糖脂質糖鎖の構成成分でもあり、体内ではN-アセチルグルコサミンの形で存在している。自然界ではエビカニをはじめ甲殻類の甲らなどのキチンの主要成分として多量に存在している。また貝の殻や動物の骨、一部の細菌の細胞壁などにも存在する。

 体内でのグリコサミノグリカンの合成は加齢に伴って徐々に減少し、結果として各所の関節痛や皮膚の老化などさまざまな加齢現象をもたらす。コンドロイチンが関節部分の軟骨に弾力性をもたせ、骨どうしの摩擦を防ぐ役割をもつのに対し、関節軟骨に含まれるグリコサミノグリカンの構成成分であるグルコサミンは、軟骨そのものを修復・再生する働きをもち、変形性関節症などによる関節痛などに有効であるとされ、グルコサミンを含んだサプリメントが多数販売されている。近年研究では、変形性関節症への効果のみならず、関節炎関節リウマチに対する抗炎症効果、血小板凝集を抑制することによる血栓予防効果など、細胞機能調節の役割も期待されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グルコサミン」の意味・わかりやすい解説

グルコサミン
glucosamine

化学式 C6H13NO5 。ヘクソサミンの一種で,代表的な天然のアミノ糖。動植物,微生物の多糖類,特に糖蛋白質や糖脂質の構成成分であり,エビやカニの殻であるキチン質の構成単位である。キチン質を塩酸とともに煮沸すると塩酸塩として得られる。遊離のグルコサミンの結晶には2型ある。α体は融点 88℃。β体は針状晶,分解点 110℃。これらは水,熱メタノールに易溶,エーテル,クロロホルムに不溶である。

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