日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェニルヒドラジン」の意味・わかりやすい解説
フェニルヒドラジン(データノート)
ふぇにるひどらじんでーたのーと
フェニルヒドラジン
分子式 C6H8N2
分子量 108.1
融点 19.6℃
沸点 243℃
比重 1.0978(測定温度20.3℃)
屈折率 (n)1.6083
フェニルヒドラジン
ふぇにるひどらじん
phenylhydrazine
ヒドラジンの誘導体。ヒドラジノベンゼンともいう。純粋なものは無色。空気と光にさらすと黄色から暗赤色になる。ベンゼンジアゾニウム塩を亜硫酸ナトリウム、塩化スズ(Ⅱ)などで還元して合成する。弱い塩基性があり、種々の酸と付加化合物の塩をつくるが、普通、塩酸塩の形で取り扱われることが多い。水にはほとんど溶けないが、エタノール(エチルアルコール)、エーテルにはよく溶ける。毒性があるので取扱いには注意を要する。カルボニル化合物と縮合してヒドラゾンを、糖と反応してオサゾンを、酸と反応してヒドラジドを生じるので、これらの化合物の分離、確認のための試薬として重要である。
[務台 潔]