デジタル大辞泉
「D型肝炎ウイルス」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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D型肝炎ウイルス(肝炎ウイルス)
(4)D型肝炎ウイルス(hepatitis D virus:HDV)
1)形態と構造:
D型肝炎ウイルスはデルタ肝炎ウイルスともよばれ,Rizzettoらによりその抗原抗体系が発見された.HBVのヘルパー作用を必要とする不完全ウイルスであり,HDVはHBV感染者のみに感染が成立する.HDVは直径36 nmの球状粒子で,HBV粒子とともに存在する.この粒子はコアとエンベロープからなっており,コアはRNAゲノム(1.7 kbpの環状1本鎖RNA)とデルタ抗原を含み,エンベロープはpre-Sを含むHBs抗原からなる.HBVを外殻とし,コア部分にRNA ゲノムとデルタ抗原を包含する二重構造を示す.
2)感染様式:
HBV感染と同時,あるいはHBVキャリアに重感染する2つの感染経路があり,感染ルートは,HBVと同じく輸血,針刺し事故,性行為,母子間などが主体と考えられる.わが国ではHBVキャリアが欧米に比べ多いにもかかわらず,HDV感染は少ない.欧米においてはHBVとの同時感染あるいは重感染において肝炎の劇症化や重症化との関連が問題になっているが,わが国においては欧米のような重症例はまれである.
3)ワクチン:
HDVそのもののワクチンは存在しないが,HBワクチンでHBVの感染を防げば予防可能である.[溝上雅史]
■文献
Hollinger FB, Ticehurst J: Hepatitis A virus. In: Virology, 2nd ed(Fields DM ed),pp631-670, Raven Press, New York, 1990.
加藤宣之,土方誠也:ウイルス複製と遺伝子発現,C型肝炎ウイルス.蛋白質核酸酵素,37(10月増刊号):2626-2632, 1992.
岡本宏明,真弓 忠:肝炎ウイルスと肝炎の発症機序,B型.最新内科学大系 48,ウイルス肝炎—肝感染症(井村裕夫,尾形悦郎,他編),pp12-39,中山書店,東京,1991.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
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