FTAブーム(読み)FTAぶーむ/えふてぃーえーぶーむ(その他表記)FTA boom

知恵蔵 「FTAブーム」の解説

FTAブーム

世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンドが難航する中で、二国間、広域地域、特定地域での自由貿易協定(FTA)の交渉、締結が増加中である。多国間と二国間(地域内)の貿易自由化は相互に補完的と見られるが、ガット第24条に基づき締約国に通報されたFTAは2006年から07年10月現在までで42あり、WTO発足の1995年以降の累計は240となった。WTO加盟国で何らかのFTAに加盟していないのはモンゴルのみ。東アジア域内では現在までに15が発効しており、日本については発効4、締結3、大筋合意1、交渉中はASEANを始め7である。ラミーWTO事務局長は、2010年までに欧州からアジア、中南米に広がり400に増えるものと予想している。なお、FTAはWTO交渉よりも自由化分野の選択、労働移動の自由化などでの柔軟性が高い一方、原産地規則など多様な取り決めが交錯したり、協定外の国に対しては関税上の不利益などで自由化のスピードが遅れるなどの批判も出ている。

(松尾寛 (株)三井物産戦略研究所副所長 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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