改訂新版 世界大百科事典 「Gスーツ」の意味・わかりやすい解説
Gスーツ (ジースーツ)
G-suit
正しくはanti-G-suit,耐G服と呼ぶ。内側に気囊を付けたぴったりしたズボン状の衣服で,急激な運動をする戦闘機などの乗員が着用する。飛行機が急激な引起しや旋回をすると,遠心力による加速度が乗員の頭から足の方向にかかり,戦闘機では7G以上になることがある(Gまたはgは重力加速度9.8m/s2を単位とした加速度の単位。加速度自身をGと略称することもある)。人間は個人差があるものの,頭から足の方向へ6Gくらいかかると,脳に十分血液が行かなくなり,一時的に目が見えなくなるブラックアウトなどの症状を示す。これを防止するため,加速度に応じてエンジンの圧縮空気の一部をGスーツの気囊に送りこみ,下半身を圧迫して血液が下がるのを防ぐ。Gスーツの着用により7~8Gまで耐えられるようになる。
執筆者:鷹尾 洋保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報