化学辞典 第2版 「GC含量」の解説
GC含量
ジーシーガンリョウカクサンノ
GC content
DNAは,通常2本鎖を形成しており,その2本鎖は塩基配列が相補的で,Watson-Crick塩基対の規則どおり,アデニン(A)対チミン(T),グアニン(G)対シトシン(C)の対をなしている.その原理に従えば,AとT,GとCのモル比はともに1:1であるから,DNAのプリンとピリミジン塩基はつねに等しく存在していることが明らかである.したがって,個々の生物のDNAの化学組成は,(G+C)のモル百分率(または単にGC含量ということがある)によって特徴づけられる.高等植物や動物はすべてDNA中のGC含量が大きいが,ウイルスや細菌,下等植物では必ずしもそうではない.これらのGC含量は分類学上関係のある生物ではよく似ている.DNAの融解温度(Tm)および密度とGC含量との間にはそれぞれ直線関係が成立し,GC含量が高いほど融解温度が高く,また密度が大きい.前者の関係は,G-C間の水素結合が3個であるのに,A-T間では2個であることから説明される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報