翻訳|guanine
プリン環構造をもつ複素環式化合物の一種で、2-アミノ-6-ヒドロキシプリンである。生物体内ではグアノシン三リン酸(GTP)や核酸などの重要な生体物質の構成成分として存在している。分子量151.13。無色の固体で、加熱により分解するため融点は未決定である。水に不溶、有機溶媒にも難溶であるが、酸やアルカリにはよく溶ける。
1844年に鳥の糞(ふん)(グアノ)の中に存在することが発見され、2年後の1846年に組成が決定された。さらに約40年後に核酸のプリン塩基成分として含まれていることがわかり、核酸の加水分解物中にみいだされた。
なお、うま味調味料として知られるグアニル酸は、グアニン、D-リボース、リン酸の結合したヌクレオチド(核酸を構成する構造的単位)である。
[笠井献一]
2-amino-6-hydroxypurine.C5H5O(151.13).プリン誘導体の一つ.生体内ではアデニンとともに核酸のプリン塩基として存在する.2種類の互変異性体があるが,主としてケト形で存在する.2,4,5-トリアミノ-6-オキシピリミジンをギ酸とともに加熱して閉環させると得られる.融点365 ℃(分解).λmax 248 nm(ε 10.7,pH 6.2).結晶性はよく,水に可溶,有機溶媒にほとんど不溶.塩酸あるいは亜硝酸で処理するとキサンチンを生成する.[CAS 73-40-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…通常この三つ組(トリプレットtriplet)は,塩基の頭文字をとったアルファベットの4文字(A,U,G,C)を三つ並べて表記する。A,U,G,Cはそれぞれ,アデニン,ウラシル,グアニン,シトシンを表し,1個のコドンは1個のアミノ酸または読み終りの信号(句読点のようなもの)に対応する。遺伝暗号表の読みかたは,三つ組塩基の左側から,1番目,2番目,3番目とし,UUUというコドンなら,左上端のフェニルアラニン(Phe)というアミノ酸に対応することがわかる。…
…DNAでは糖の部分が2‐デオキシ‐D‐リボース(2‐deoxy‐D‐ribose)であるのに対して,RNAのそれはD‐リボース(D‐ribose)である。さらにDNAの塩基はアデニンadenine(Aと略す),グアニンguanine(G),シトシンcytosine(C),チミンthymine(T)の4種からなるが,RNAの場合はチミンの代りにウラシルuracil(U)が用いられる(図2)。DNAもRNAもこれら4塩基がいろいろな順序で多数配列した巨大分子であり,場合によってはこれら塩基に特殊な修飾の加わった(例えばメチル化された)微量塩基が少量存在することもある。…
…昆虫類はマルピーギ管で尿酸を排出するが,体内の脂肪体細胞も尿酸を蓄積するので尿酸細胞urate cellと呼ばれている。 クモ類の多くは窒素の代謝産物をグアニンとして排出するが,一部の腸管細胞はグアニンを蓄積する。グアニンは魚類の体表や腹腔壁のグアニン細胞guanophoreによっても蓄積され体表に真珠光沢をもたらす。…
…生体中で核酸の構成成分,あるいは低分子化合物として機能する。アデニン,グアニン(少量存在するものとしてはヒポキサンチンおよびそのリボヌクレオシドであるイノシンなどがある)はピリミジン塩基(シトシン,チミン,ウラシル)とともに核酸の重要な構成成分である。アデニンはATP,NAD,FADなどの補酵素の構成成分でもある。…
※「グアニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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