日本大百科全書(ニッポニカ) 「チミン」の意味・わかりやすい解説
チミン
ちみん
Thymin ドイツ語
thymine 英語
5-メチルウラシルともいう。核酸、とくにデオキシリボ核酸(DNA)を構成するピリミジン塩基の一種。DNAを塩酸などで加水分解すると得られる。分子量126.1。単離されたものは星形または針状結晶を呈する。326℃で分解。冷水にはやや溶けにくいが、熱水、アルカリには溶けやすい。DNA中ではアデニンと対(つい)をなして水素結合をつくり、二重螺旋(らせん)構造の形成に関与している。
なお、リボ核酸(RNA)中ではチミンに相当するところはウラシルがかわりに入っている。ただし例外として、転移RNAでは1分子(約100個のヌクレオチドからなる)当り1個程度のチミンが含まれており、特別な役割を果たしていると考えられる。
[笠井献一]