内科学 第10版 「IV型アレルギー反応」の解説
IV型アレルギー反応(アレルギー性疾患の総論)
Ⅳ型アレルギー反応は,反応に24~48時間要することから,遅延型アレルギーとよばれる.Ⅰ型からⅢ型までは,抗原抗体反応を介した反応であるのに対し,Ⅳ型は抗原とリンパ球(おもにT細胞)が反応するもので,リンパ球より放出されたリンホカインにより細胞傷害を引き起こす.ツベルクリン反応はその代表であるが,これは結核菌由来抗原が抗原提示されたときに,生体内において抗原特異的T細胞が存在していると,種々の炎症性サイトカインが分泌され,単球やマクロファージが集簇し,皮膚局所に発赤・硬結を生じる.接触皮膚炎は,ハプテンが体内のハプテンキャリアと結合して抗原提示され,T細胞やマクロファージが活性化されることにより引き起こされる疾患である.反応時間は24~72時間である.しかし抗原刺激が局所に長く持続すると,3~4週間の反応時間を経て,類上皮細胞,巨細胞,マクロファージの集簇した肉芽腫形成をみる場合があり,これを肉芽腫形成性過敏症とよぶ.臨床的には,Hansen病,結核,サルコイドーシス,Crohn病などの疾患が含まれる.また,輸血や移植により移入したT細胞が生着し,宿主の組織を攻撃する移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)もⅣ型アレルギーの範疇に入る.[茆原順一]
■文献
茆原順一:好酸球が語るアレルギーの臨床と分子病態.アレルギー,59: 943-949, 2010.
伊藤 亘,茆原順一:アレルギー疾患の診断の進め方.医学と薬学,55: 15-21, 2006.
Palomares O, Yaman G, et al: Role of Treg in immune regulation of allergic diseases. Eur J Immunol, 40: 1232-1240, 2010.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報