移植片対宿主病(読み)イショクヘンタイシュクシュビョウ

デジタル大辞泉 「移植片対宿主病」の意味・読み・例文・類語

いしょくへんたいしゅくしゅ‐びょう〔‐ビヤウ〕【移植片対宿主病】

ジー‐ブイ‐エッチ‐ディー(GVHD)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

内科学 第10版 「移植片対宿主病」の解説

移植片対宿主病(免疫系疾患)

(2)移植片対宿主病(graft-versus-host-disease:GVHD)
 GVHDは同種造血幹細胞移植後に起こりうる重要な合併症である.急性GVHDと慢性GVHDとがあり,特に消化管病変は急性GVHDで頻度が高く予後を左右することもあり重要である.症状は悪心・嘔吐,食欲不振,下痢,下血腹痛などが認められる.急性GVHDのおもな標的臓器は皮膚,肝臓,消化管で,消化管症状に加えて皮疹や肝障害を伴うことがある.上部消化管内視鏡検査では発赤,びらん,潰瘍浮腫,粘膜脱落など認めるがいずれも非特異的所見である.下部消化管内視鏡検査でも,発赤,びらん,潰瘍,浮腫,粘膜脱落など非特異的所見が主体であるが,斑状発赤,粘膜脱落,顆粒状粘膜変化が特徴的であるとの報告もある.消化管GVHDは水様性下痢が主症状のことが多く,一般的に上部より下部消化管内視鏡検査が優先されて施行されることが多い.確定診断は消化管粘膜生検による病理組織学的診断による.鑑別疾患としてはサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染や血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy:TMA)が重要となることが多い.いずれの疾患もときに致死的となり早期診断を要する.[安藤貴文・後藤秀実]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android