MIO顔料(読み)えむあいおーがんりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「MIO顔料」の意味・わかりやすい解説

MIO顔料
えむあいおーがんりょう

micaceous iron oxideの略称雲母(うんも)状酸化鉄のことで、鱗片(りんぺん)状の酸化鉄(Ⅲ)(酸化第二鉄)α‐Fe2O3を主成分(Fe2O3として約85~93%)とする金属光沢を有する黒色顔料である。塗料とした場合、塗膜中でMIOの鱗片状粒子が平行に配列するため上塗りや中塗りに用いると、耐久性、耐食性を増す。このことから、さび止め塗料として取り扱われる。日本では、天然のものが用いられ、選鉱、粗砕後、雲母状結晶を壊さないよう、特殊な粉砕工程を経て、精選分離し、フレーク状の径10~60マイクロメートルを主体とした範囲の鱗片状粒子がそろえられる。MIO顔料は安定な化合物で、耐候性、耐熱性、および耐酸・耐アルカリ性ともに高く、長期防食塗料として工場地帯や海上における厳しい腐食環境にも十分耐えられる。

大塚 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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