OECD多国籍企業行動指針(読み)おーいーしーでぃーたこくせききぎょうこうどうししん(その他表記)OECD Guidelines for Multinational Enterprises

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

OECD多国籍企業行動指針
おーいーしーでぃーたこくせききぎょうこうどうししん
OECD Guidelines for Multinational Enterprises

複数の国に拠点をもち活動する大企業に対して責任ある行動をとるよう勧告するため、経済協力開発機構OECD)がまとめたガイドライン。1976年に策定された。人権、情報開示、雇用、環境保護、汚職防止、消費者保護、科学技術、競争納税など企業倫理のさまざまな問題に関する原則が記されているが、企業への拘束力はない。しかし、OECD加盟34か国とアルゼンチンブラジルなど10か国、合計44か国の政府は、指針遵守と効果的な実施を促すとしている。世界経済の発展や企業行動の変化などの実情にあわせ、頻繁に改訂されている。

 かつては途上国における環境破壊や工場労働者からの搾取などが問題になることが多かったが、リーマン・ショック以降は、多国籍企業が行き過ぎた節税を行うケースが問題視されている。OECDは、2013年7月、この問題に対処するため「税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」を公表。2014年9月にオーストラリアで開かれたG20財務大臣・中央銀行総裁会議でも税逃れ対策を盛り込んだ改訂について議論が行われた。

[編集部]

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