Ubuntu(読み)うぶんとぅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「Ubuntu」の意味・わかりやすい解説

Ubuntu
うぶんとぅ

Linux(リナックス)ディストリビューションの一つ。その開発を行っているプロジェクトをさす場合もある。Linuxディストリビューションとは、オープンソースOSであるLinuxのカーネル(OSの核にあたる部分)と、アプリケーションやドライバーなどをパッケージにすることで、ユーザーが手軽に利用できるようにした配布形態である。ウブントゥとは、ズールー語で、「他者への思いやり」や「皆があっての私」といった意味がある。パソコン用としてデスクトップ版とサーバー版があり、スマートフォン向けバージョンも開発されている。

 南アフリカ出身の実業家シャトルワースMark Shuttleworth(1973― )が、同じくLinuxディストリビューションであるDebian(デビアン)をベースに開発プロジェクトをスタートさせ、2004年に最初のバージョンが発表された。その後、イギリスのカノニカル社Canonicalがサポートなどを行うこととなり、シャトルワースの寄付によってUbuntu財団も創設されている。

 Ubuntuを開発プロジェクトは、デスクトップ版とサーバー版を6か月ごとに更新してリリースすると宣言しており、つねに最新のアプリケーションが利用できる点が特徴である。これらはすべて完全無料で、無償セキュリティアップデートなども長期にわたって提供される。

 わかりやすいグラフィカルなインストーラが搭載されているため、他のLinuxディストリビューションよりも手軽に導入できることが人気の理由の一つになっている。また、日本語環境のデスクトップ版にはWebブラウザやオフィスソフト、日本語入力ソフトなど、基本的な機能がすべて含まれる。そのほかにも、Linux用の数多くのフリーソフトウェアなどがパッケージされており、それらを簡単に使える環境も提供されている。また、バージョンによって違いはあるものの、いずれも使用するコンピュータに求められるスペックはあまり高くなく、最新ディストリビューションでも、そのリリース時から数世代前のパソコンでも動作する。なお、Ubuntuをベースとした新しいLinuxディストリビューションも派生している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「Ubuntu」の解説

Ubuntu

2004年に公開されたLinuxのディストリビューションの一つ。インターネット上のコミュニティーによって開発され、無償で配布されている。既存のディストリビューション、Debian(デビアン)をベースに独自の改良を加えた。動作に必要なプログラムすべてが1枚のCD-ROMに収録されており、パソコンにインストールして使用する以外に、パソコンをCD-ROMから起動することによっても使用できるという特徴を持つ。Windowsがインストールされたパソコン等のOSを入れ替えることなく使用できるため試しやすい。
開発コミュニティーは6カ月ごとの定期バージョンアップを宣言しており、現在は4月と10月に公開されている。バージョン番号が公開年(西暦)の下1桁+公開月となっており、09年8月現在の最新バージョンは「9.04」である。
デスクトップ/ノートパソコン版とサーバー版が中心だが、ネットブック向け、組み込みプロセッサ搭載機向け、音楽制作向けなど、様々なバリエーションが存在する。日本の家電メーカー、シャープが2009年9月発売のインターネット端末「NetWalker」に組み込みプロセッサ搭載機向けUbuntuを採用し話題となっている。
Ubuntuとは、公式ウェブサイトの解説によるとアフリカの単語で「他者への思いやり」、「皆があっての私」といった意味を持つという。

(斎藤幾郎  ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「Ubuntu」の解説

Ubuntu

DebianをベースにしたLinuxのディストリビューション。南アフリカ出身の起業家マーク・シャトルワース氏と彼の会社キャノニカル社が開発した。語源は南アフリカの現地語で、誰でも持っている寛大さ、親切さ、友好的な、思いやりがある、情け深さという意味。パソコンの平均的なユーザーに使いやすい最新のOSを提供する目的で開発された。そのため、ほかのディストリビューションに比べるとインストール手順がわかりやすく、デスクトップ環境が充実しており、WindowsやMac OSに近い感覚で使えるOSとして評価が高い。

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