日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンティミスト」の意味・わかりやすい解説
アンティミスト
あんてぃみすと
intimiste フランス語
絵画史では、広義には室内画家をさし、狭義には、その室内画に温かな親密な情感を表現する画家たち、典型的にはボナール、ビュイヤールたちをさしている。室内画の系譜は、中世末、宗教画がしばしば市民の室内空間に設定された時代にまでさかのぼりうるが、17世紀オランダのフェルメールやピエテル・デ・ホーホたちによって確立され、19世紀フランス印象派以降、もっとも主要な画題の一つになる。しかし、ボナール、ビュイヤールは、親しい家族や友人、ごく日常的な食卓や会話や仕事の情景、そしてそれらを包む室内の夜昼の光線を描き、アンティミテ(親密感)を現したため、しばしば彼らをこの名称でよぶ。
[中山公男]