改訂新版 世界大百科事典 「ゲッカビジン」の意味・わかりやすい解説
ゲッカビジン (月下美人)
Dutchman's-pipe cactus
Epiphyllum oxpetalum(DC.)Haw.
幻想的な一夜花を咲かせるサボテン。原産地はメキシコからブラジルの森林で,熱帯圏を中心に広く愛培される。葉もサボテン特有のとげもなく,古茎は樹木状に木質化し,高さ3mに育ち,多数分枝する。若い茎はコンブ状で長さ50cm以上にもなり,周辺はゆるやかに波打ち,曲がったところに刺座(しざ)がある。2年以上経た刺座から,夏から秋に数回白い大輪の花を咲かせる。夕方から開き始め,9時過ぎに満開になり,夜半を過ぎるとしぼみ始め,翌朝には完全にしぼんでしまう。花は漏斗状で,長さ20cmほど。強い芳香を放つ。花はオクラのようなぬめりがあり,三杯酢やブタ肉といためて食用にできる。繁殖は挿木による。水はけのよい腐植質に富む土に植え,夏の間は遮光するか半日陰に置き,冬は防寒し,十分日に当てる。
執筆者:湯浅 浩史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報