日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛇行動」の意味・わかりやすい解説
蛇行動
だこうどう
鉄道車両の輪軸または台車が、左右にうねりながら前進する運動。軌跡が蛇行することからこの名がある。鉄道車両に特有の現象で、円錐(えんすい)を輪切りにした形の車輪2枚を1本の車軸の両側につないだ輪軸が回転することにより発生する。1対の輪軸でも、複数の輪軸をもつ台車でも発生する。
蛇行動の波長(振動の波の山から次の山までの直線距離)は、車輪の直径、踏面勾配(とうめんこうばい)、左右の車輪とレールの接触点間隔などでほとんど決まり、速度にはそれほど影響されない。そして台車はその波長で左右に動き、車体を左右に動かそうとする。たとえば、車両の速度が秒速14メートル(時速約50キロメートル)で波長も14メートルなら、台車は1ヘルツの周波数(周波数は単位時間あたりの振動数。1ヘルツは毎秒1回の振動)で車体を振動させようとする。速度が時速100キロメートルに上がると周波数は2ヘルツ(毎秒2回の振動)に上がる。このように、車両を左右方向に加振する周波数は、速度とともに上がっていくこととなる。これが高速化の大きな問題となる。踏面勾配を小さくすれば蛇行動波長は長くなるので、高速車両は小さな勾配をもつようにしている。
[福田信毅]