ゲル濾過(読み)げるろか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲル濾過」の意味・わかりやすい解説

ゲル濾過
げるろか

分子量の違いにより物質を分離するのに使われる技法で、ゲルクロマトグラフィー分子篩濾過(ふるいろか)ともいう。濾過担体として用いられるゲルには、デキストランゲル、ポリアクリルアミドゲル寒天、アガロースゲルなどがある。これらのゲルは分子間架橋などにより微細な網目構造を有するため、ガラス管に詰め試料溶液を流し込むと、低分子溶質は網目構造に入り込むが、網目より大きな溶質はそのまま流出する。小分子ほど網目の奥に入りやすく、より大きな分子は入りにくいので、多量の緩衝液を流すと分子量の大きさの順に溶質が溶出してくる。各種サイズの網目構造をもつゲルが市販されており、各種物質の分離精製に欠くことのできない技術である。

[嶋田 拓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ゲル濾過」の解説

ゲル濾過
ゲルロカ
gel filtration

種々のゲルを担体に用い,分子ふるい効果を利用して濾過する方法.一般に,低分子の溶質は,ゲル粒子の網目状構造体中に入り込み,拡散に時間がかかる.大きな溶質分子はゲル網目状構造中に入り込めないため,速く流出する.この性質を利用して,高分子の分子量を分別する方法をゲル浸透クロマトグラフィーという.ゲル濾過剤としては,三次元構造をもつセファデックスのほか,ポリアクリルアミドゲルや寒天ゲルなども使用される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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