ピノチェト裁判(読み)ぴのちぇとさいばん

知恵蔵 「ピノチェト裁判」の解説

ピノチェト裁判

1973年にクーデター政権を握り90年まで軍政を続けたチリピノチェト将軍は、反政府派の市民を虐殺した責任を問われて英国で逮捕され、チリに帰国後の2001年、誘拐罪殺人罪で起訴され自宅軟禁された。クーデターのさい弾圧で約4000人が軍によって虐殺され約1万人が拷問され、4万人以上が政治犯として収容され、約100万人が国外追放や亡命した。このうちピノチェトが起訴されたのは彼が軍幹部に指示して政治犯55人を銃殺させ、19人を行方不明とさせた「死のキャラバン事件」だ。起訴後にピノチェトの健康状態が問われ、裁判が停止されたり再開したりした。05年9月には最高裁がピノチェトの痴呆が進んでいるとして裁判の中止を決定した。一方で同年8月にはピノチェトが海外の秘密口座に巨額の資産を隠していたことが発覚し、脱税の疑いで妻子が逮捕された。06年、ピノチェトの死亡で裁判は終わった。

(伊藤千尋 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android