フィリップ王戦争(読み)フィリップおうせんそう(英語表記)King Philip's War

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィリップ王戦争」の意味・わかりやすい解説

フィリップ王戦争
フィリップおうせんそう
King Philip's War

1675~76年にアメリカのニューイングランド地方一帯を巻き込んだインディアン諸民族連合軍とニューイングランド植民地連合軍との戦い。キングフィリップ戦争とも呼ばれる。インディアン連合軍の指導者ワンパノアグ族の大族長メタコムは,マサソイトの息子でフィリップ王と呼ばれたことからこの名がついた。1675年6月,3人の密告者インディアンの殺害をきっかけに始まったこの戦争は,ワンパノアグ族,ニプマック族,ナラガンセット族などが,白人植民者による土地侵略に耐えかねて起こした徹底的抗戦で,1676年春までにニューイングランドの 92の町のうち 52を攻撃し,12を壊滅させたが,マサチューセッツコネティカットプリマスの植民地側も兵士を動員して徹底的な弾圧と殺戮を加え,同年5~8月の掃討戦でメタコムを射殺した。彼の妻と子供は捕えられ,奴隷として西インドに売られた。ニューイングランドのインディアンはこの戦いで再び立ち上がれないほどの壊滅的打撃を受けたが,一部はカナダに逃れてフランス勢力と結びイギリス勢力に対抗した。植民地側の受けた打撃も大きく,本国への依存を望む勢力の台頭をみた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android