プリマス(読み)ぷります(その他表記)Plymouth

翻訳|Plymouth

デジタル大辞泉 「プリマス」の意味・読み・例文・類語

プリマス(Plymouth)

英国、イングランド南西部、イギリス海峡に面する軍港都市。1620年のメイフラワー号の出港地。
米国マサチューセッツ州南東部の港町。1620年にメイフラワー号が到着した地で、ピルグリムファーザーズにより建設された。
西インド諸島東部にある英国の海外領土、モントセラット島の旧首都。同島南西部に位置する。1997年、スーフリエールヒルズ山の噴火により壊滅的な被害を受け、首都機能を喪失。北部のブレイズに臨時首都が置かれ、続いてリトルベイを新首都とする計画が進められている。

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精選版 日本国語大辞典 「プリマス」の意味・読み・例文・類語

プリマス

  1. ( Plymouth )
  2. [ 一 ] イギリス、イングランド南西部、イギリス海峡にのぞむ港湾都市。中世から港町として栄え、一六二〇年、メイフラワー号の出帆地となった。ポーツマスに次ぐ海軍基地
  3. [ 二 ] アメリカのマサチューセッツ州南東部、マサチューセッツ湾にのぞむ港町。メイフラワー号の到着地。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プリマス」の意味・わかりやすい解説

プリマス(イギリス)
ぷります
Plymouth

イギリス、イングランド南西部にあるユニタリー・オーソリティーUnitary Authority(一層制地方自治体)の海港都市。人口24万0718(2001)。タマー川Tamarの河口にプリム川Plymが流入する所に位置する。プリマス、ストーンハウス、デボンポートの3市が1914年に合併、成立した。イギリス海峡の西端に臨み、天然の良港に恵まれるため、中世以来港町として栄えてきた。現在はポーツマスに次ぐイギリス第二の軍港で、両大戦時にも重要な役割を演じた。また貿易港としても重要で、北アメリカ、西インド諸島、オーストラリア、ニュージーランドなどとの貿易が盛んである。第二次世界大戦後、中心部の商店街、ビジネス地区などの再開発が行われて近代化が進み、郊外には新たに軽工業団地も設けられている。デボンポート地区の造船をはじめ、帆布、ロープ、精糖、製粉、肥料、化学製品などの工業がある。港は漁業基地でもある。

[井内 昇]

歴史

古くはサットンSuttonという名の漁村であったが、1439年ヘンリー6世から特許状と現在の地名を与えられて自治都市になった。以後、イギリス海峡の入口を扼(やく)する地理的位置から海軍の基地として発達し、16世紀にはホーキンズ父子、ギルバート、ドレークらの探検航海者や私掠(しりゃく)船長たちの根拠地となり、1588年スペインのアルマダ無敵艦隊)の来襲時にはイギリス艦隊が当市沖で待機し出撃した。1620年巡礼始祖(ピルグリム・ファーザーズ)のメイフラワー号は当市からアメリカに出航し、上陸地の現マサチューセッツ州プリマスをはじめ、多くの同名の町がアメリカ大陸にできた。ピューリタン革命期には議会派につき、南西イングランドの都市で唯一、国王派に属さなかった。1666年海岸に城塞(じょうさい)が設けられ、海からの守りが強化された。その後もポーツマスに次ぐ海軍基地として発達し、第二次世界大戦中はドイツ軍の空襲でかなりの被害を受けた。1944年連合軍のヨーロッパ大陸への反攻時(ノルマンディー上陸作戦)には、アメリカ軍の一部が当市から出撃。

[松村 赳]


プリマス(アメリカ合衆国)
ぷります
Plymouth

アメリカ合衆国、マサチューセッツ州南東部、プリマス港に臨む小都市。ニュー・イングランド地方におけるヨーロッパ移民の最初の定住地として知られ、ピルグリム・ファーザーズによって建設された。人口7658(2000)。漁業やクランベリーツルコケモモ)栽培などの小規模産業もあるが、豊富な史跡を擁する海浜の保養地として、観光が経済的基盤となっている。初期の清教徒集落跡、ピルグリム・ホール博物館、メイフラワー2世号、復原された多くの植民地時代の家などが残る。

 メイフラワー号に乗ってイギリスを出発したピルグリム・ファーザーズが定住(1620)ののち、植民会社プリマス・カンパニーにちなんで命名した。同時に彼らは、イギリス国王への誓約と、多数派の意思に基づく政府形態とを盛り込んだ「メイフラワー契約」を作成し、統治の基盤とした。1643年には、10のタウンが形成され、ニュー・イングランド連合に加入。以後、総督アンドロスの支配下に入るが、名誉革命後、彼の支配下の領土が再組織されるのに伴い、1691年マサチューセッツ湾植民地に併合。なお、同名の土地は、ニュー・イングランド地方を中心に、合衆国内に25以上もある。

[野村文子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プリマス」の意味・わかりやすい解説

プリマス
Plymouth

イギリスイングランド南西部の都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。1998年にデボン県から分離して単一自治体となった。イギリス海峡沿岸の港湾都市で,プリマス湾に注ぐプリム川とテーマー川に挟まれて位置し,東部が軍港となっている。ウィリアム1世による土地調査書『ドゥームズデイ・ブック』(1086)にすでに港町として記されているが,14世紀に入って貿易が盛んとなり,フランスへの兵員輸送基地となってから急速に発展。16世紀にはウォルター・ローリーがアメリカ大陸のバージニア植民のためここから出航,また 1588年スペイン無敵艦隊を破ったイギリス艦隊の出航地でもある。1620年にはアメリカ入植者を乗せた『メイフラワー』号が嵐を避けて寄港した。第2次世界大戦では空襲で大被害を受けたが,戦後商店街,ビジネス街などを含む都心の再開発が進み,近代化が進行。郊外には計画的に軽工業地区が配置されている。南西部のデボンポートに海軍造船所があるほか,機械,製靴,衣料,精密機械,肥料,化学などの工業が行なわれる。港からはおもにそれらの製品が輸出され,木材,果実,野菜,穀物,石炭などを輸入する。港はヨット基地としても重要。市内には再建された聖アンドルー聖堂,19世紀のギルドホールや各種の博物館があり,イギリス海洋生物学協会本部が置かれている。探検家ロバート・F.スコットの生地。面積 79km2。人口 24万6100(2005推計)。

プリマス
Plymouth

アメリカ合衆国,マサチューセッツ州南東部の都市。プリマス湾岸に位置し,ニューイングランドの最初の植民地。清教徒に関する記念行事や遺跡に富み,1620年清教徒が最初に上陸した 12月 21日は上陸記念日として祝われる。市内には,清教徒が最初に足跡を残したプリマスロック,最初の越冬で死んだ約半数の者を葬ったコールズヒル,最初の砦と見張り台が建設された W.ブラッドフォードその他の人々の墓のあるブリアルヒルがあり,港には実物大のメイフラワー2世号がある。また 1824年に建設されたピルグリムホール博物館は清教徒や植民初期の遺物をよく保管,展示している。気候もよいので,観光,避暑のため多くの人が訪れる。索類の生産,コケモモの栽培と加工,漁業が行われる。人口4万 5608 (1990) 。

プリマス
Plymouth

西インド諸島東部,リーワード諸島中部,モントセラト島にある港湾都市。イギリス領モントセラトの首都。綿花,柑橘類,植物油などを輸出する。人口 3500 (1985推計) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「プリマス」の意味・わかりやすい解説

プリマス
Plymouth

イギリス,イングランド南西部,デボン州南西端にある港湾都市。地名は〈プリム川の河口〉を意味する。人口24万1500(2003)。コーンウォール半島中部,イギリス海峡の入江であるプリマス湾に臨み,溺れ谷に位置する港湾は軍港,漁港,貿易港として重要である。食品,造船,衣料の各工業もみられ,また海岸保養地としても知られる。現在の町は,古くからの港町であるプリマスを核に,17世紀末からの海軍基地であるデボンポートDevonport,その間の商港であるストーンハウスStonehouseの3都市が1914年に合併して成立した。1577年にはF.ドレークが世界一周へ出航,1588年にはスペインの無敵艦隊(アルマダ)を撃つべくイギリス艦隊が集結するなど,しばしば歴史の舞台となった。市街はテーマー川とプリム川の間の半島上に横たわり,城塞,アルマダ戦勝記念碑,海軍病院,15世紀のセント・アンドルーズ教会などがある。
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百科事典マイペディア 「プリマス」の意味・わかりやすい解説

プリマス

英国,イングランド南西隅,プリム川とテーマー川河口,イギリス海峡に面する港湾都市。14世紀以来の重要な海軍基地。1588年スペイン無敵艦隊を破ったイギリス艦隊の拠点であり,また1620年のメーフラワー号の出航地として有名。1914年兵営,海軍病院などのあるストーンハウス地区,軍港,国立造船所があるデボンポート地区および旧来のプリマス地区が合併。プリマス地区は商港で銅,スズ,鉛,陶器などの取引の中心。25万6384人(2011)。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「プリマス」の解説

プリマス
Plymouth

アメリカ,マサチューセッツ州の海岸の地名。ピルグリム・ファーザーズが上陸し植民地を築いた土地として知られている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「プリマス」の解説

プリマス
Plymouth

アメリカ合衆国,マサチュセッツ州南東部にある港町
1620年12月21日ピルグリム−ファーザーズが上陸し,建設した町として有名。

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