コネティカット(読み)こねてぃかっと(英語表記)Connecticut

翻訳|Connecticut

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コネティカット」の意味・わかりやすい解説

コネティカット
こねてぃかっと
Connecticut

アメリカ合衆国、北東部の工業州。面積1万2973平方キロメートル、人口340万5565(2000)。州都ハートフォード。独立13州の一つである。北はマサチューセッツ州、東はロード・アイランド州、南はロング・アイランド海峡、西はニューヨーク州にそれぞれ接する。ほぼ長方形の形をしており、面積は50州中48番目と小さい。中央部を南流するコネティカット川州土をほぼ二分し、同河川流域平野と南部の海岸平野を除く全域が、起伏のある高地である。全面積の60%は森林地帯で、ニュー・イングランド地方独特の田園風景もみられる。気候は湿潤大陸性で一般に温和であるが、変化は激しい。肥沃(ひよく)な表土には恵まれず、農業は重要産業とはなっていないが、コネティカット川流域平野を中心にタバコ、干し草ジャガイモの栽培や養鶏・酪農が営まれる。

 南部の海岸に沿ってブリッジポート、ニュー・ヘブンなどの良港を有し、南西端部ではフェアフィールド郡を中心にニューヨーク市のベッドタウン化が進んでいる。北東部大西洋岸メガロポリスの一部をなし、19世紀初頭の真鍮(しんちゅう)・銀製品などの製造を出発点として、国内でも重要な工業地域として発展してきた。航空機、ヘリコプター潜水艦などの輸送機械工業、エンジン、ボールベアリング化学プラスチック工業などが立地し、南西部の工業地区では先端技術産業の集積が目だっている。またハートフォードは世界の保険業の中心地として有名である。1人当りの国民所得は、アラスカ州ワシントンDCに次いで高い。一方では著しい都市化とは対照的に、ニュー・イングランドの美しい自然と史跡が多く残され、落ち着いた雰囲気を供する。とくに教育文化面に力を入れ、1642年にはパブリック・スクールができ、50年には義務教育も始められた。1701年創立のニュー・ヘブンのエール大学がその中心をなす。1614年、オランダ人ブロックが探検に入ったが、本格的定住は1630年代からで、38年にはニュー・ヘブン植民地が形成された。1639年にはハートフォード、ウィンザー、ウェザーズフィールドが合併してコネティカット植民地を形成、世界初の成文憲法を採択した。

[作野和世]


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改訂新版 世界大百科事典 「コネティカット」の意味・わかりやすい解説

コネティカット[州]
Connecticut

アメリカ合衆国北東部,ニューイングランドの州。略称Conn.。独立13州の一つ。面積1万2973km2で,3番目に小さい。人口357万4097(2010)。州都はハートフォード,最大都市はブリッジポート。東部と西部の丘陵地にはさまれてコネティカット河谷が南北にのび,ここを中心にタバコ,野菜,リンゴ,牧草栽培や酪農が行われてきた。しかし,19世紀に入って繊維工場の立地によって工業化がすすみ,農業の重要性は著しく減じた。アメリカ・メガロポリスの一部をなす,都市化・商工業化の進んだ州で,1人当りの州民所得はアラスカ,ワシントンD.C.に次いで高い。ジェットエンジン,ヘリコプター,原子力潜水艦,銀食器,ベアリングなどの工業生産が大きい。ニューヨーク市の大企業本社の郊外移転傾向の中で,コネティカット州に拠を移す会社も多く,これは州経済に恩恵をもたらしている。ハートフォードは,保険会社の集中する都市として知られる。1614年オランダ人A.ブロックの探検以来白人の知るところとなり,34年ごろまでには,すでにコネティカット河谷の開拓が始まり,その後海岸部に集落が建設されていった。アメリカ独立に際しては,独立軍の重要な役割を演じた。州土の大部分を覆っていた原生林は開発とともに姿を消したが,今日州土の3分の2は林地で,カシ,カンバ,ブナ,カエデなどの硬木の伐採が盛ん。史跡に富み,観光地も多く,特に17~18世紀に建築された家屋の保存に力が入れられている。州歌は《ヤンキー・ドゥードル》。
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世界大百科事典(旧版)内のコネティカットの言及

【アメリカ合衆国】より

…これに次ぐ10年間に聖職者を含むピューリタンが多数渡来,発展の基礎をつくった。この間マサチューセッツから分かれた人々によりコネティカット,ロード・アイランド両植民地が設立され,やがて北部にはニューハンプシャー植民地がつくられた。独立革命当時は上記4植民地であったが,建国後に州と認められたバーモント(1791),メーン(1820)2州を加えて,現在のニューイングランド6州が成立した。…

※「コネティカット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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