伊達
だて
福島県中通(なかどお)り地方北部、伊達郡にあった旧町名(伊達町(まち))。現在は伊達市の西部を占める地域。福島盆地の中央にあり、地域には大きな山地がなく、中央を北流する阿武隈川(あぶくま)の氾濫(はんらん)原と段丘面が広がる。1940年(昭和15)長岡村が町制施行して伊達町となったが、1956年伏黒(ふしぐろ)村に編入、1957年町制施行してふたたび伊達町となる。2006年(平成18)梁川(やながわ)、保原(ほばら)、霊山(りょうぜん)、月舘(つきだて)の4町と合併して市制施行、伊達市となった。かつては養蚕と蚕種製造で知られたが、現在はモモやリンゴ、サクランボの果物の生産が卓越する。座繰製糸(ざぐりせいし)が盛んな時代には、天王様(てんのうさま)(八雲(やくも)、熱田(あつた)両神社)の祭礼には糸市(いち)が立った。箱崎の獅子舞(ししまい)は県の無形民俗文化財。交通の一核心であり、明治中期には軽便鉄道や路面電車の基地があった。JR東北本線と国道4号、399号が通り、工業的にもみるべきものがある。西に接する福島市への通勤者も多く、人口も増えている。
[渡辺四郎]
『『伊達町史』全8冊(1985~2001・伊達町)』
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だて【伊達】
〘名〙 (形動)
①
人目をひくような、はでなふるまいをすること。また、
意気、侠気をことさらに示そうとするさま。
※
多胡辰敬家訓(1544頃)「うろんなる人の用に立、だてをし、さぎをからすとあらがひ」
※四座役者目録(1646‐53)上「清五郎の時、ことのほか伊達成る素袍をきる」
② 好みが粋
(いき)であること。また、
気持がさばけているさま。
※俳諧・信徳十百韻(1675)「内儀まじりに菫つむなり 伊達にこそ裾野ひらしゃら尼衣」
③
外見を飾ること。
見栄を張ること。また、そのさま。
※俳諧・独吟一日千句(1675)第二「伊達をするかくれ笠とてあらはこそ 其蓬莱の嶋原かよひ」
※どちらでも(1970)〈
小島信夫〉一「ダテに年をとってはいませんよ」
[補注]「いかにも…らしい様子を見せる、ことさらにそのような様子をする」意の
接尾語「だて(立)」が、室町末期ごろより
名詞また
形容動詞として独立したものか。
だて【伊達】
北海道の南西部の
地名。長流
(おさる)川流域にあり、
内浦湾に臨む。明治三年(
一八七〇)
仙台藩支藩伊達邦成が
入植。水産業・野菜栽培・
酪農が盛ん。昭和四七年(
一九七二)市制。
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デジタル大辞泉
「伊達」の意味・読み・例文・類語
だて【伊=達】
[名・形動]
1 意気や侠気をひけらかすこと。また、そのさま。「伊達な若い衆」「男伊達」
2 人目を引くはでな服装や振る舞いをすること。見えを張ること。また、そのさま。「伊達や酔狂ではない」
3 好みがしゃれていること。考え方がさばけていること。また、そのさま。粋。「伊達に着こなす」
「さすが茶人の妻、物好きもよく気も―に」〈浄・鑓の権三〉
[補説]人目につくようにする意の「立つ」の連用形「立て」からとも、伊達政宗の家来がはでな服装であったからともいう。
[類語]気障・平淡・粋・お洒落・小粋・おつ・洒脱・気が利く
だて【伊達】[北海道の市]
北海道南西部、内浦湾に面する市。もと中心部は紋鼈といった。明治初年に伊達支藩の亘理藩の藩主と家臣団が入植し、その旧邸は現在、開拓記念館。野菜栽培が盛ん。平成18年(2006)3月、大滝村を編入。人口3.6万(2010)。
[補説]福島県にも伊達市があり、同名の市はこの両市と広島県府中市・東京都府中市との2組だけ。
だて【伊達】[福島県の市]
福島県北東部、福島盆地東半を占める市。奥州伊達氏発祥の地。モモなど果樹農業が盛ん。平成18年(2006)1月、伊達町・梁川町・保原町・霊山町・月舘町が合併して成立。人口6.6万(2010)。
[補説]北海道にも伊達市があり、同名の市はこの両市と広島県府中市・東京都府中市との2組だけ。
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伊達
だて
福島県北東部,伊達市西部の旧町域。福島盆地にある。 1940年長岡村が伊達町となり,1956年伏黒村に編入。 1957年伏黒村が改称して町制。 2006年梁川町,保原町,霊山町,月舘町と合体して伊達市となった。中心地区は阿武隈川左岸の段丘上に位置し,奥州街道の間の宿として発展。古くから養蚕の盛んな土地で奥州生糸の名産地であったが,桑畑はリンゴ,モモ,サクランボなどの果樹園に変わった。電気,食品,繊維などの工業も行なわれる。福島市の東に接し,宅地化が進んでいる。
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伊達
ニッカウヰスキーが製造するウイスキーの商品名。宮城県・宮城峡蒸溜所で製造される宮城県限定のブレンデッドウイスキー。
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伊達
(通称)
だて
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 元の外題
- 伊達競阿国戯場 など
- 初演
- 安永7.7(江戸・中村座)
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
だて【伊達】
近世日本の美的理念〈俠〉を構成する美意識の一つ。本来,意気を競い,人の耳目をひくような派手な振舞いをすることをいう。ひいてはそのような内面の具象化としてけばけばしいまでに華美な服装をすることでもある。意味が転じて,仁俠をてらうこと,みえを張ること,〈旗本奴〉〈町奴〉と呼ばれる俠客の心意気にまで変化してゆく。その語源には,伊達政宗の従士の服装が派手で人目をひいたことから等々,諸説あるが定かでない。【松田 修】
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報