マリク軍縮案(読み)マリクぐんしゅくあん(英語表記)Malik Disarmament Plan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリク軍縮案」の意味・わかりやすい解説

マリク軍縮案
マリクぐんしゅくあん
Malik Disarmament Plan

1955年5月10日にロンドン軍縮委員会で,ソビエト連邦の I.A.マリク代表が提出した「軍備縮小,原子力兵器の禁止,および新しい戦争の脅威排除」と題する提案。アンドレイ・ブイシンスキー軍縮案より次の 5点でいっそう西側の主張への歩み寄りをみせた。(1) アメリカ合衆国,ソ連,中国の総兵力をそれぞれ 100万~150万人に,イギリス,フランスの総兵力をそれぞれ 65万人に抑える。従来ソ連は各国の現有兵力をそれぞれ 3分の1,あるいは比例的に削減するよう主張していたが,この提案で西側の主張を取り入れた。(2) 核兵器の全面的禁止は,従来「通常軍備の全削減量の完了より遅れずに行なう」としていたのを「全削減量の最後の 25%の開始と同時に行なう」と改めた。(3) 第1段階で常設の国際管理委員会を設けることにした。(4) 第1段階,第2段階の完了期間をそれぞれ 1年とした。(5) 核兵器の使用禁止について西側がつけている「侵略に対する防衛の場合を除く」という留保条件を受け入れた。このマリク案によって一般的軍縮についての東西の主張はかなり一致してきたが,結局提案の歩み寄りにとどまり,取り決めへとは発展しなかった。

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