四季(詩雑誌)(読み)しき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「四季(詩雑誌)」の意味・わかりやすい解説

四季(詩雑誌)
しき

詩雑誌。1933年(昭和8)に堀辰雄(たつお)が季刊2冊を刊行(第一次)、翌34年堀、三好達治(みよしたつじ)、丸山薫(かおる)の3人が月刊として創刊(第二次)、44年までに81冊を出した。おもな同人に前記3名のほか、津村信夫(のぶお)、立原道造(たちはらみちぞう)、辻野久憲(つじのひさのり)、中原中也(ちゅうや)、萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)らがいる。時代的潮流や文壇ジャーナリズムの圏外で芸術を純粋に保持することを目ざして堀が始めた瀟洒(しょうしゃ)な雑誌であったが、立原の十四行詩(ソネット)や三好の作品など伝統的叙情と西欧的知性との両方を摂取した新たな叙情詩を数多く掲載、のち神保光太郎(じんぼこうたろう)ら『日本浪曼派(にほんろうまんは)』同人の加入でその雰囲気に一面での変化はあったが、昭和10年代における叙情詩復興の気運を推進する存在となった。

[大橋毅彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android