大都市制度(読み)だいとしせいど

知恵蔵 「大都市制度」の解説

大都市制度

地方自治法は都市行政の特殊性に対応するため、一般の市町村とは異なる特例を定めている。第1は東京都制である。東京都を構成する23区は特別区とされ、区長公選制の復活など市町村に準ずるものとなっているが、なお特別区と三多摩地区の扱いの違いなどが残されている。第2は政令指定都市(15市、2006年4月現在)制度である。政令で指定する人口50万以上(実際の指定基準は100万前後)の市で、道府県から、福祉、衛生都市計画など18項目の事務が一括して移譲されるほか、知事だけでなく大臣の監督を受けたり、区を設置できるなどの特例が認められる。第3は中核市(36市、06年4月現在)制度である。人口30万以上、面積が100平方キロ以上(人口50万未満の場合は中核性〈昼間人口夜間人口を上回ること〉を申請要件)として1994年に発足したが、その後中核性の要件と面積要件が削除された。福祉や保健、都市計画など政令指定都市のほぼ7割の権限を持つ。さらに99年には特例市(39市、06年4月現在)制度が新設された。人口20万以上の市を対象都道府県から都市計画、区画整理、騒音規制などの事務を移譲するもので、中核市の2割程度の権限を持つ。現行の地方制度調査会では、権限強化、広域連携、住民自治強化などの観点から大都市制度の見直しが検討されている。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

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