柏原(市)(読み)かしわら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「柏原(市)」の意味・わかりやすい解説

柏原(市)
かしわら

大阪府中東部、大和川(やまとがわ)が大阪平野に流れ出る谷口部にある市。1958年(昭和33)市制施行。JR関西本線、近畿日本鉄道の大阪線・道明寺線、国道25号(奈良街道)、165号、170号(東高野(こうや)街道)、西名阪自動車道が通じる。古くから奈良と大阪を結ぶ交通の要地であるとともに、河内(かわち)の政治、文化の中心地として栄え、高井田横穴、松岳山古墳(まつおかやまこふん)(ともに国指定史跡)や国分寺国府遺跡(こういせき)がある。近世大和川の付け替え後は、旧河床にワタナタネが栽培され、柏原船国分船で大坂の京橋へ運ばれた。明治以後、豊かな地下水を利用して晒(さらし)、染色工業が発達し、ゆかた生地の生産が盛んであったが、近年では生産量が減少、最近は機械、化学、金属工業が伸びている。東部の奈良県境の生駒(いこま)、金剛(こんごう)山地山麓(ろく)のブドウ栽培も有名である。三田(さんだ)家住宅は18世紀中ごろの町屋で国指定重要文化財。渡来人田辺史(ふひと)の氏寺田辺廃寺跡は国指定史跡。また大阪教育大学、関西福祉科学大学がある。面積25.33平方キロメートル、人口6万8775(2020)。

安井 司]

『『柏原市史』全5巻(1969~1982・柏原市)』


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