現港区の中央部、西と北を
大永四年(一五二四)北条氏綱は江戸太田氏ゆかりの本住坊に「三田」の寺領を寄進している(同年一〇月九日「北条氏綱判物写」報恩寺文書)。本住坊は江戸
中世、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
兵庫県南東部にある市。三田盆地のほぼ中央を武庫(むこ)川が貫流し、東部と北部は山地、南西部はなだらかな丘陵地である。1958年(昭和33)市制施行。JR福知山線、神戸電鉄三田線および公園都市線、国道176号が通じ、神戸市との境に接して中国自動車道神戸三田インターチェンジ、舞鶴若狭自動車道(まいづるわかさじどうしゃどう)三田西インターチェンジがある。中心三田は、中世までは金心寺(こんしんじ)の門前町として開け、1633年(寛永10)以降九鬼(くき)氏三田藩3万6000石の城下町として繁栄する。いまもそのおもかげを濠(ほり)と土塀のある士族屋敷、狭い屈曲した道路にわずかにとどめている。三田地区の東隣には商業町として発展した三輪(みわ)町がある。武庫川の本・支流が形成した肥沃(ひよく)な沖積低地は早くから開け、生産性の高い乾田が多く、県下屈指の穀倉地帯であった。三田米は良質の酒米、すし米となる。三田牛の肉も美味で知られ、丘陵地はマツタケ産地で名高い。福知山線の複線化計画、道路の整備などを背景に、職住共存の北摂ニュータウンや工業団地テクノパークが西部丘陵に建設され、阪神間との結び付きを深めている。1992年(平成4)弥生(やよい)が丘に県立「人と自然の博物館」が開館、1995年には学園に関西学院大学神戸三田キャンパスが開学した。市の北部の有馬富士は展望に優れ、北麓(ほくろく)には花山(かざん)天皇隠棲(いんせい)の地花山院がある。御霊神社の本殿、高売布(たかめふ)神社の本殿と木造狛犬(こまいぬ)は国指定重要文化財。駒宇佐八幡(こまうさはちまん)神社百石(ひゃっこく)踊は県指定無形民俗文化財。面積210.32平方キロメートル、人口10万9238(2020)。
[二木敏篤]
『『三田市史』全12巻(1998~2012・三田市)』
東京都港区中部の地名。武蔵野台地の末端部に当たり,現在1~5丁目に分かれる。《和名抄》に御田郷の名があり,地名の由来は,屯倉(みやけ),また伊勢神宮あるいは御田八幡領の御田があったことによるという。三田の名の史料的初出は1524年(大永4)の〈北条氏綱安堵状〉である。近世には久留米藩有馬家上屋敷,島原藩松平家下屋敷など大名屋敷が多く,その間をぬって虎の門から品川宿へ通じる往還沿いの町並み化が進み,一部は1662年(寛文2)に代官・町奉行両支配となった。また神宮寺門前,功運寺門前,泉福院門前,随応寺門前,当光寺門前など寺町の一画が形成された。1828年(文政11)の調査によれば当地域の町数27,総家数約1500軒(地主・家持122,地守・家守190,地借110,店借1131)であり,幕末の資料によれば当地域に多い問屋商人の業種は炭薪仲買,舂米屋,人宿,両替屋などであった。
1871年(明治4)慶応義塾が島原藩下屋敷跡に移転したのちしだいに学生の町となり,〈三田〉は慶応義塾大学の代名詞ともなった。現在は三田通りと第一京浜国道沿いにビル化した商店街,ビジネス街が発達し,起伏の多い台地上は集合住宅を含む住宅地,社寺地がその大部分を占める。付近にはオーストラリア大使館,イタリア大使館,三井クラブなどのほか,荻生徂徠の墓がある長松寺,幕末期に日本最初のフランス公使館となった済海寺がある。また,台地末端部にあるため坂が多く,魚籃(ぎよらん)坂,潮見坂,蛇坂など古い地名も残っている。
執筆者:松崎 欣一+正井 泰夫
兵庫県南東部の市。六甲山地をへだてて神戸市の北に隣接する。1958年市制。人口11万4216(2010)。武庫川の中流域に位置し,JR福知山線で大阪,神戸電鉄で神戸と結ばれている。江戸時代は九鬼氏3万6000石の城下町として栄え,酒米として著名な三田米や,三田牛,マツタケの産地として知られた。神戸まで20km,大阪まで30kmという近い距離にありながら,交通が不便なため開発は遅れていたが,近年,周辺の丘陵部で北摂三田ニュータウンをはじめとする住宅地の開発がすすんでいて,ここ数年は日本で1,2を争う人口増加率を示している。舞鶴若狭自動車道のインターチェンジも開通した。大阪市に匹敵する広さをもつ市域にはゴルフ場やレクリエーションの好適地が多い。市街には士族屋敷もわずかに残り,九鬼氏の菩提寺心月院,白鳳時代の開基と伝える金心(こんしん)寺などの古寺がある。
執筆者:小森 星児
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