狐憑(読み)きつねつき

精選版 日本国語大辞典 「狐憑」の意味・読み・例文・類語

きつね‐つき【狐憑】

〘名〙 (狐が霊力あるものとの迷信から) 狐の霊がとりついたといわれる、異常な精神状態。また、その人。きつねつかれ。きつね。
※俳諧・玉海集(1656)付句「よそ目には狐つきとも云つべし 稲荷の山をこゆる鑓もち〈重利〉」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「狐憑」の意味・わかりやすい解説

狐憑
きつねつき

憑霊信仰の一つで,きつねの霊が人にとり憑いて異常な状態に導くとするもの (→憑依 ) 。発作性,ヒステリー性の精神病の一種とも考えられるが,実際にきつねになりきったようなしぐさをしたり,いろいろなことを口走ったりする。治療のためには行者や神職者を呼んで,松葉いぶしのようなきつね落しの呪術が行われる。古く平安時代文献にも現れ,また農村を中心に広く分布した。きつねに対する特異な感覚や信仰のゆえもあって,熱病患者を狐憑と誤って松葉いぶしにしたり,特定家系をきつね筋として縁組などを忌み嫌ったりした例も,数多くみられた。

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