白朮参り(読み)おけらまいり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白朮参り」の意味・わかりやすい解説

白朮参り
おけらまいり

京都市祇園(ぎおん)の八坂(やさか)神社に大みそかから年頭にかけて参り、白朮火(おけらび)を受けて帰り、元旦(がんたん)の雑煮火種にする行事。「をけら詣り」とも書く。オケラキク科の植物で、焼いた煙に浴すれば邪気を払うといわれる。八坂神社本殿国宝)の両側につってある灯籠(とうろう)に、白朮草を交えた清火がたかれ、参拝者は吉祥縄(きっちょなわ)を持って、この清火を受ける。参拝者は火の消えぬように、縄を打ち振って持ち帰り、雑煮を炊く。清火の食物を頂けば、年中、流行病にもかかることなく強健になるという。元旦に清火を受けて火種とする風は大和(やまと)の大神(おおみわ)神社はじめ多い。

[萩原秀三郎]

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世界大百科事典(旧版)内の白朮参りの言及

【忌火(斎火)】より

…民間では,大晦日に斎火祭,鑽火祭などといって神前で火鑽できった清い火で祭典を行う所がある。京都八坂神社の白朮(おけら)参りではその火を参詣者がもらって帰り元旦の火にする。新年を迎えるに当たって火を改める風習は神社の祭礼ばかりでなく家々の年中行事としても行われる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」