日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アカデミア・デル・チメント
あかでみあでるちめんと
Academia del Cimento
イタリアのフィレンツェにつくられた初期の自然科学の学会。1657年創設、1667年まで存続した。cimentoは「試み」「実験」を意味するが、この学会では当時の自然科学の諸問題を厳密に実験的に研究し、結果を『自然科学実験論文集』として出版した。会員には解剖学のボレリ、地質学、解剖学のステノ、医学、博物学のレーディ、天文学のカッシーニ、物理学のトリチェリらがおり、彼らは気圧計、温度計、比重計、振り子などの科学機器の原理の研究や、それらを用いた実験を数多く行い、たとえば、気圧の変化の影響を受けない温度計を初めてつくった。またガリレイが理論的に指摘し、当時確証されていない問題についても多くの実験を行うなど、その後の科学の発展に重要な貢献をした。
[高山 進]