日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボレリ」の意味・わかりやすい解説
ボレリ
ぼれり
Giovanni Alfonso Borelli
(1608―1679)
イタリアの数学者、医師。ナポリの生まれ。ガリレイの弟子で、マルピーギの師である。ローマのカステッリBenedetto Castelli(1578―1643)のもとで数学を学び、シチリア島のメッシーナ大学の数学教授となり、ついでピサ大学の教授となった。数学、物理学、化学の知識を、呼吸、消化、尿の分泌などの生理現象の説明に応用した。とくにその著書『動物の運動』De Motu Animalium(1685)に記載しているように、動物の運動や伸筋、屈筋の調節的活動にも応用した。また心室筋線維の螺旋(らせん)状配列による心室収縮の有効性を明らかにし、心拍出力を計算した。また大動脈血流量から腹部内臓器官への比較的流量の計算(大動脈流量の約2分の1)もした。退任後はスウェーデンの前女王クリスティーナ(自由意志でローマに亡命)の侍医を務めていた。
[中山 沃]