改訂新版 世界大百科事典 「アグラオネマ」の意味・わかりやすい解説
アグラオネマ
Aglaonema
熱帯アジアに約30種が分布するサトイモ科の常緑の多年草。ディッフェンバキアによく似るが,より小型なので外観でも区別できるが,仏焰苞(ぶつえんほう)の中央にくびれがなく,完全な雌雄異花で,子房1室など花房の形態が異なる。観葉植物として温室で栽培されるものが数種ある。アグラオネマ・コンムターツムA.commutatum Schott.は茎が直立し,葉は長形の光沢ある濃緑色。変異が多く,葉が長く細く,黄白色の斑(ふ)が密に入るプセウドブラクテアーツムcv.Pseudobracteatum,さらに葉が細いトレウビイcv.Treubiiなどが観葉鉢物として栽培される。少し大型で,葉は長楕円形のアグラオネマ・ニティズムA.nitidum Kunthでは側脈に沿って白色斑が入るカーティシイcv.Curtisiiが栽植される。葉の大部分が灰緑色で,多肉質長楕円形のアグラオネマ・クリスプムA.crispum Nicols.,黄白斑が入るアグラオネマ・ピクツムA.pictum Kunthなども観賞価値が高い。高温・多湿を好むが,水を控えれば,10℃以上で越冬する。挿木でふやすが,よく結実するので実生もできる。日照不足にもよく耐えるので,室内装飾に適する。カイガラムシ,ハダニの発生に注意する。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報