日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスクレピアス」の意味・わかりやすい解説
アスクレピアス
あすくれぴあす
[学] Asclepias
ガガイモ科(APG分類:キョウチクトウ科)トウワタ属の属名。南北アメリカ、アフリカに約100種分布する多年草で、半低木の種類もある。名はギリシア神話の英雄で医術の神アスクレピオスAsklēpiosからつけられたともいわれる。日本で多く栽培されているヤナギトウワタA. tuberosa L.は、宿根パンヤとも称し、高さ50~80センチメートルで、茎に粗毛があり、葉は柳葉に似て長楕円(ちょうだえん)形でやや互生する。根は太く塊根状となる。6~9月、茎頂に鮮やかな赤橙(せきとう)色の小花を散形状に密につける。そのほか、代表的な種類にトウワタA. curassavica L.がある。形はヤナギトウワタに似るが、やや大柄で葉は対生し、つやがある。
和名は、種子に綿毛がつくことによる。ともに花壇、切り花、鉢植えとして観賞される。春フレームで早播(ま)きにすれば秋には小形ながら花がつき、2年目には成株になる。株分け、挿芽も可能である。また、トウワタは耐寒性が劣るので、冬は鉢植えにして温室で保存する。
[神田敬二 2021年6月21日]