改訂新版 世界大百科事典 「トウワタ」の意味・わかりやすい解説
トウワタ
blood-flower
Asclepias curassavica L.
ガガイモ科の多年草。熱帯アメリカ原産であるが,熱帯域に広く帰化している。日本では切花や鉢物として栽培されるが,同属で北アメリカ原産の葉が細いヤナギトウワタA.tuberosa L.(英名butterfly weed,pleurisy root,orange milkweed)の方が多く栽培されている。トウワタは,半低木状となる多年草で,草丈は1m以上となり,緑色の茎を直立する。葉は長楕円状披針形で対生する。春から秋へかけて葉腋からのびた花柄の先に5~10花をつける。花冠は橙紅色で5深裂しそりかえり,副花冠もある。ヤナギトウワタは花つきがよく,花色は黄橙色から緋紅色に色変りして美しい。花期は熱帯域では周年,日本では6~9月。地下に横臥(おうが)する長い塊茎がある。配糖体を含有し,有毒であるが,民間薬として世界各地で利用され,種子の長毛繊維は綿のまぜものとして利用される。トウワタは熱帯性のため温室で越冬させるが,一年草として扱うこともある。ヤナギトウワタはかなり耐寒性があり,暖地では戸外で越冬する。繁殖は挿木のほか,種を春まきにする。日当りと排水のよい所を好み,鉢植えにはヤナギトウワタが適している。なお,近縁のフウセントウワタGomphocarpus fruticosus R.Br.は別属の植物で,アラビア,アフリカ原産の常緑低木である。葉は対生して細長く,花は7~8月に咲き,白色である。風船状の大きな蒴果を観賞する。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報