光学材料の光の分散に関する性質を表す量。屈折率は光の波長によって異なり(これを光の分散という),使用波長域で透明な材料の屈折率は波長が長くなるにしたがって減少するのが一般である。フラウンホーファー線のF線(波長486nm),d線(587nm),D線(589nm)およびC線(656nm)に対する屈折率をそれぞれnF,nd,nD,nCとしたとき,νD=(nD-1)/(nF-nC),またはνd=(nd-1)/(nF-nC)をアッベ数と呼ぶ。可視域(約380~770nm)で使用する光学ガラスなどの光学材料の分散の目安に用いられ,この数値が大きいほど光の分散が小さいことを示す。分散の異なる2種のガラス,例えばクラウンガラス(νd≈65)とフリントガラス(νd≈30)を組み合わせることにより色消しレンズを作ることができる。なお,アッベ数の逆数を分散能という。
→光分散
執筆者:鶴田 匡夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
光学ガラスのような等方性の透明物質において、その屈折率が光の波長によって変化する性質(分散)を規定する物質固有の数値。逆分散率ともいう。可視光線のスペクトルのうちフラウンホーファー線のC(波長656ナノメートル)、D(589ナノメートル)、d(587ナノメートル)、F(486ナノメートル)の各線の屈折率をnC、nD、nd、nFとすると、アッベ数νは、
νD=(nD-1)/(nF-nC)
または
νd=(nd-1)/(nF-nC)
と定義され、アッベ数が大きいほど波長による屈折率の分散は小さい。フリントガラスで20~50、クラウンガラスでは55~70程度である。
[境野照雄・伊藤節郎]
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