改訂新版 世界大百科事典 「アフォンソ」の意味・わかりやすい解説
アフォンソ
Afonso
生没年:?-1545
アフリカ,コンゴ王国の王(マニ・コンゴ)。在位1506-45年。15世紀末以降ポルトガル人が渡来するようになると,カトリックに改宗,1506年に即位してアフォンソ1世と称した(旧名ヌジンガ・ムベンバNzinga Mvemba)。彼は,ポルトガルと外交使節を交換し,宣教師,石工,鍛冶屋,農業技術者などを迎えいれて,キリスト教の布教を奨励するなど,ポルトガル文化の摂取につとめ,欧化政策に力を注いだ。2人の皇子をローマ教皇のもとに派遣し,欧風の宮殿を建て,教会や学校をつくり,首都ムバンザ・コンゴをサン・サルバドルと改称したほどである。しかし,ポルトガルのコンゴ進出の目的は,奴隷貿易の推進,象牙の輸入,鉱物資源の開発にあったため,コンゴ王国は急激に荒廃し,衰退に向かった。彼の欧化政策は,意に反してヨーロッパ勢力のコンゴ,アンゴラ支配の端緒を開く結果に終わった。
執筆者:小田 英郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報