アフォンソ1世(その他表記)Afonso Ⅰ

改訂新版 世界大百科事典 「アフォンソ1世」の意味・わかりやすい解説

アフォンソ[1世]
Afonso Ⅰ
生没年:1109?-85

ブルゴーニュ朝を開いたポルトガル初代の国王在位1139-85年。アフォンソエンリケスとも呼ばれる。ブルゴーニュ出身のアンリ伯とレオン・カスティリャ王アルフォンソ6世の娘テレサの間にコインブラで生まれた。アルフォンソ6世からミーニョ川とテージョ川との間のポルトゥカレ伯領を封土として譲渡されていた父アンリの死後,母親テレサがその統治権を受け継いだが,1128年アフォンソ・エンリケスは,ガリシア貴族と深いつながりを持つテレサに不満を抱いていた領内の貴族の支持を得て母親の軍隊を破り,ポルトゥカレ伯を名のった。それ以後の彼の行動は,ポルトガルの独立,教会自治権の獲得,イスラム教徒からの領土回復という三つの目標に向かって進められる。そのため,従兄のアルフォンソ7世に反乱を企て,39年オウリケの戦でイスラム軍を破り,それ以後国王を自称し始めた。43年サモラ条約でカスティリャとの和平がなり,ポルトガルは独立を認められたが,ローマ教皇がそれを承認するのは36年後のことである。この独立にはスエビ王国からの伝統を受け継ぐブラガ大司教が,トレド大司教から独立して,首都座大司教権を領内に確立するために背後からアフォンソ1世を支持した。この間にもアフォンソ1世は国土回復戦争を続け,47年サンタレン,リスボンを征服し,さらにアレンテージョをほぼその支配下に収めてポルトガル領の基礎を築いた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アフォンソ1世」の意味・わかりやすい解説

アフォンソ1世(征服王)
アフォンソいっせい[せいふくおう]
Afonso I, o Conquistador

[生]1109? コインブラ
[没]1185.12.6. コインブラ
ポルトガル王 (在位 1143~85) 。ポルトガル建国の王。ブルゴーニュ朝の開祖。ブルゴーニュ出身のポルトガル伯アンリ (エンリケ) とカスティリア王アルフォンソ6世 (勇猛王) の娘テレサの子。 1128年ポルトガル伯となり,国土回復運動を進める一方,カスティリアと戦い,カスティリア王アルフォンソ7世 (皇帝) から独立を認められた (43) 。以後もムーア人との戦いを続け,イングランド,フランドル十字軍の支援を得て,1147年リスボンを征服した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アフォンソ1世」の解説

アフォンソ1世(アフォンソいっせい)
Afonso Ⅰ

1109?~85(在位1143~85)

ポルトガル,ボルゴニャ朝の初代国王。アフォンソ・エンリケスとも称される。父ポルトゥカレ伯エンリケの死後,母テレザと争って伯領の実権を掌握。イスラーム教徒との戦いを通じて王を称す。従兄弟のカスティリャ‐レオン王アルフォンソ7世と1143年に和約を結び,ポルトガル王国が成立。47年のリスボン征服など,レコンキスタを推進した。

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世界大百科事典(旧版)内のアフォンソ1世の言及

【ブルゴーニュ朝】より

…そしてその後には彼女とライムンドの子アルフォンソ7世がカスティリャの王位に就いてブルゴーニュ朝が始まった(1126)。他方,テレサとエンリケの子アフォンソ(1世)は祖父王の死後カスティリャが陥った混迷に乗じてポルトガル伯領の独立を指向,1143年にはこれを達成した。したがって,ブルゴーニュ朝はポルトガル建国の初代王朝である。…

【ポルトガル】より

… 絵画が偉大な個性を発揮したのは,建築同様15世紀で,ファン・アイクの来訪(1428)によって,フランドルの写実的様式が隆盛を極めた。アフォンソ5世(在位1438‐81)の宮廷画家ゴンサルベスがリスボン派の総帥で,彼の《聖ビセンテ(ウィンケンティウス)の多翼祭壇画》(6枚)は,海洋国ポルトガルの一大ドキュメントであると同時に,15世紀ヨーロッパ絵画の最高傑作の一つである。ルネサンス期にはイタリアの影響も波及し,肖像画家モライスCristóvão de Morais(16世紀後半活動)らが活躍,18~19世紀にもビエイラFrancisco Vieira Portuense(1765‐1806),〈ポルトガルのゴヤ〉と呼ばれるセケイラDomingos de Sequeira(1768‐1837)を生んだ。…

※「アフォンソ1世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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