ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブル・ファラジュ」の意味・わかりやすい解説
アブル・ファラジュ
Abū al-Faraj al-Iṣfahānī
[没]967.11.20. バグダード
アラブの文学者。ウマイヤ朝の末裔で,シーア派のムスリム。バグダード,レイ,アレッポなどに滞在し,アレッポではハムダーン朝のサイフ・ウッダウラ王の保護を受けた。名著『歌の書』 Kitāb al-aghānīは,アッバース朝のカリフ,ハールーン・アッラシードの命でイブラーヒーム・マウシリー (804没) が集めた有名な歌謡 100曲を中心に,アブル・ファラジュがさらに,古代からのアラブの詩人や歌手の伝記,逸話を流麗な文章で書き加え,21巻にまとめたもの。「わが 20万巻の蔵書中,これ以上のものなし」と激賞した学者もあり,古いアラビアの社会や風習を研究する最上の書とまでの評価を受けるにいたった。
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