日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミカ」の意味・わかりやすい解説
アミカ
あみか / 網蚊
net-winged midges
昆虫綱双翅(そうし)目カ群アミカ科Blepharoceridaeの総称。体と肢(あし)は細長い。はねは大きく、臀角(でんかく)がよく発達して突出している。翅脈のほかに擬脈または間脈とよぶ繊細な構造が広がり、光線のぐあいで網目のように光ってみえるのでこの名がある。雌雄とも合眼的で、複眼は細い横線、個眼が大きい上半部と、小さい下半部とに分かれている。頭頂には3個の単眼がある。触角は細く、9~15節。中胸背面の横線は中央で幅広く消失する。幼虫と蛹(さなぎ)はともに渓流の岩や川底に付着して生活し、体は扁平(へんぺい)で腹面にはよく発達した吸盤を備えるなど、特異な形態を示す。そのため、種類間の特徴がよく識別できるとの理由で分類には成虫よりも幼虫または蛹によるほうが容易とされる。成虫は渓流の付近で発見される。代表種のヤマトアミカBibiocephala japonica、スカシアミカParablephalocephala esakiiの両種のはねは透明で、美しい虹(にじ)様の光沢がある。またクロバアミカB. infuscataのはねは著しく煤(すす)色を帯びる。
[伊藤修四郎]