化学辞典 第2版 「アミノ酪酸」の解説
アミノ酪酸
アミノラクサン
aminobutyric acid
C4H9NO2(103.12).2-,3-および4-アミノ体の3種類のアミノブタン酸が知られている.いずれもアミノ酸の一種.【Ⅰ】2-アミノブタン酸:CH3CH2CH(NH2)COOH.多くの動物の尿,血漿,およびマメ科の根粒中に見いだされる.アミノ酸の一般的合成法に従って合成されるが,またグルタミン酸を20% 水酸化ナトリウム水溶液と煮沸しても得られる.L-2-アミノブタン酸は分解点292 ℃.+8°(水).DL-2-アミノブタン酸は分解点304 ℃.[CAS 80-60-4]【Ⅱ】3-アミノブタン酸:CH3CH(NH2)CH2COOH.分解点193~194 ℃.[CAS 541-48-0]【Ⅲ】4-アミノブタン酸:CH2(NH2)CH2CH2COOH.略号GABA.ジャガイモの根茎,リンゴの果肉,マメ科の根粒,およびほ乳動物の脳髄など,動物,植物界に広範囲に遊離の状態で存在するが,2-アミノブタン酸とは異なり,タンパク質の構成要素ではない.4-ハロブタン酸にフタルイミドあるいはアンモニアを作用させると得られる.無色の針状結晶.分解点203 ℃.生体内ではグルタミン酸より酵素的に脱炭酸を受けて生成する.GABA作動性ニューロンの神経末端から放出され,GABA受容体に結合し,抑制性神経伝達物質として作用する.脳代謝促進剤,頭痛薬などに用いる.LD50 5000 mg/kg(マウス,静注).[CAS 56-12-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報